Friday, August 20, 2021 10:24 AM
使用済み電池を安全に分解〜ORNL、ロボット技術で
エネルギー省オークリッジ国立研究所(ORNL)の研究チームは、電気自動車(EV)の使用済み電池から重要な材料を安全かつ効率的に取り出して再利用するため、ロボットで分解するシステムを開発している。
グリーンカー・コングレスによると、今後20年間でEVの増加が見込まれる中、大型のリチウムイオン電池パックをどのようにリサイクルするかが重要な課題になりつつある。今は再生率が低いため大部分は手作業で行われているが、ORNLのエンジニアは、ロボットを使うことで分解を加速し、処理能力を大幅に向上させつつより安全に加工できることを示している。
摩耗した電池の部品を交換するためハウジングを外す場合も、コバルトやリチウムなどの材料を回収するために電池スタックを完全に処理する場合も、まずは電池の状態の診断が最初の作業になる。安全で効率的な取り扱いや分解のためには人の介入を制限することが重要で、人間のオペレーターが使用済み電池を手で分解する場合は厳密で時間のかかる事前放電が必要になるが、ロボットなら電気の残量に関係なく、ボルトやハウジングをすばやく取り外せる。
また自動分解なら、人間が電池の内部にある有害な化学物質や一部の新車両では900ボルト(V)近くにもなる高い電圧にさらされる恐れも軽減される。ORNLの自動システムは、あらゆるタイプの電池スタックを簡単に再構成でき、個々の電池モジュールを改修または蓄電用に再利用することも、電池を最小単位のセルまで分解して材料を回収することもできる。
研究者らは毎回同じ手順に従い、使用済み電池の構成部品を手作業で分解し、その工程のデータを収集して、自動システムのために必要なロボットツールと制御を作成した。人が12個の電池スタックを分解するのと同じ時間で、自動システムなら100個以上を処理できると推定されるという。
次の段階として、研究チームは同様の分解システムをEVのドライブトレインに応用し、構成部品からレアアース、銅、鋼、傷んでいないパワーエレクトロニクスなどを回収することも考えている。