Wednesday, March 16, 2022 6:59 AM
クリアビューAI、顔認識技術でウクライナ政府を支援
ウクライナ国防省はこのほど、米国の新興企業クリアビューAI(Clearview AI、本社ニューヨーク州)が提供する強力なAI(人工知能)顔認識技術の使用を始めた。
ロイター通信によると、この技術はロシア兵、戦闘に関する誤情報、死者などの特定に役立つ。オバマ旧政権とバイデン現政権で外交官を務めた経験のある同社顧問のリー・ウォロスキー氏の話では、ウクライナはクリアビューAIの顔検索エンジンを無料で利用でき、当局は検問所などで不審者らを精査できるようになったという。
この計画は、ロシアのウクライナ軍事侵攻を受けて、クリアビューのホワン・トンタットCEOがウクライナ政府に支援を申し出たことで実現した。クリアビューはロシア側にこの技術を提供したことはなく、ウクライナでの活動を「特殊作戦」と呼んでいる。
トンタット氏によると、クリアビューは100億枚以上の写真データベースを持ち、その中からロシア最大の交流サービス(SNS)フコンタクテ(VKontakte)から得た20億枚以上の画像を自由に使えるようにした。ウクライナはそのデータベースを使い、指紋の照合よりも簡単に死者を特定でき、顔が損傷していても特定は可能だという。
クリアビューの技術は、離散した難民家族の再会、ロシア工作員の特定のほか、ソーシャルメディアで戦争関連の偽投稿を暴くといったことも可能にし、近くウクライナのほかの政府機関でも導入が見込まれているという。
ただ、顔認識技術には誤認の可能性もある。監視技術の抑制を目指すニューヨークの団体Surveillance Technology Oversight Project(STOP)のアルバート・カーン氏は、警察が導入して不当逮捕が起きているように、誤認が民間人の死につながる可能性もあると指摘する。
トンタットCEOは、クリアビューの技術だけで身元を確認すべきではなく、戦時の人道的扱いを規定したジュネーブ条約に反して技術が使われることは望まないと話している。
ウクライナのユーザーは、他のユーザーと同様に研修を受け、検索する前に事案の番号と検索理由を入力する必要がある。