Monday, August 22, 2022 6:51 AM

EV向け全固体電池、炭素排出量の削減に貢献へ

 電気自動車(EV)用の全固体電池は、液体電解質(電解液)を使った既存のリチウムイオン電池と比べるとEV電池の二酸化炭素(CO2)排出量を29%削減し、持続可能な材料を使うことでさらなる削減が可能という調査結果を、欧州の環境団体トランスポート&エンバイロメント(T&E)が発表した。

 ロイター通信によると、現在最も技術が確かな全固体電池とリチウムイオン電池を比較すると、持続可能なリチウム源を使用した場合は全固体電池の方が生産に関連するCO2排出量を最大39%減らせる可能性があるという。

 T&Eは、欧州議会と欧州連合(EU)加盟国が最終決定したEV電池の新規制に、炭素排出量の削減に対するインセンティブを盛り込むよう要請している。

 T&Eのクリーン車両担当者セシリア・マッテア氏は声明で「EVは地球にとってすでに非常に優れたものだが、全固体電池の技術はそれをもう一歩前進させる。より高いエネルギー密度は、製造に必要な材料をはるかに少なくでき、炭素排出量もはるかに減らせることを意味しているからだ」と述べた。

 電池の中では、イオンが電解質の中を移動することで電気が発生する。電解質に硫化物系または酸化物系(セラミック)の材料を使う全固体電池は、電解液のリチウムイオン電池よりも多くのエネルギーを蓄え、より早く充電し、より高度な安全を確保できる。

 また全固体電池は、重要な材料であるグラファイト(黒鉛)やコバルトの使用量を抑えることができる。特にコバルトは世界生産の大部分をコンゴ民主共和国(CDR)が占めるが、同国はコバルト生産をめぐる児童労働などの人権侵害が問題視されている。