Friday, September 02, 2022 7:05 AM
北米企業の産業用ロボット発注、4-6月は過去最高
自動化推進協会(A3)が発表した2022年上半期の北米産業用ロボット発注数は、前年同期比25%増の1万2305台だった。半期ごとの発注数としては過去最高。金額にすると5億8500万ドルだった。労働市場のひっ迫で人件費が高騰し、北米企業は工場の運営や倉庫の稼動を持続するためロボットの購入を増やしている。
ロイター通信によると、産業機器大手イートン(Eaton、米・アイルランド)の場合、23年にかけて150台の各種ロボット導入を計画しており、その半数を北米の電気設備工場に配備する。
ただ、ロボット導入が国全体の生産性向上につながるかは今のところ明確ではない。労働省が発表した22年4〜6月期の非農業部門の労働生産性(速報値)は、年率換算で前期比4.6%下げた。前年同期比は2.5%低下で、1948年の調査開始以来最大の下げ幅となった。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で労働人口構成が大きく変化したため、生産性上昇率の推定は難しくなっている。また、最近の就業者数の増加は、レジャーや宿泊など生産性の低いサービス業界で目立っている。つまり、ロボットによる生産性向上の数字を製造業以外の分野が打ち消している可能性がある。
A3のジェフ・バーンスタイン代表は、企業がロボットの潜在能力を最大限生かすには時間がかかると指摘した。特に電気自動車(EV)への移行を進める自動車業界など、完全に新しい技術を導入する分野がこれに当てはまる。4-6月期の北米ロボット発注の60%近くは自動車会社からだった。
ファナック米国部門のマイク・シッコCEOの推定では、同社の自動車メーカー向けロボット販売の半分は新設のEV工場向けだという。「これらはすべて、数年後の稼働開始を予定する工場への投資」であるため、これらのロボットが現時点では生産性向上に貢献していないことになる。