Monday, March 06, 2023 11:54 AM

HTCのCEO、アップルのXRヘッドセット市場参入を歓迎

 消費者電子機器製造大手HTC(台湾拠点)の共同創設者シェア・ワンCEOは3月6日、バルセロナで開催中のモバイル・ワールド・コングレス(MWC)において、アップル(Apple)が「早ければ2023年中」にも複合現実(XR)端末を発売する可能性があると語すと同時に、「われわれはアップルを恐れていない」と話した。

 CNBCによると、アップルは最近、AR(拡張現実)めがねを2025年までに発売する計画を無期限中断したと報じられた。XRヘッドセットの最終製品化に資源を集中させるためと憶測される。同社は以前から、仮想現実や拡張現実端末の開発に取り組んでいると噂されてきた。1月には、アップルがXRヘッドセットを市場投入する準備に注力している、とブルームバーグが報じている。

 メタヴァース市場の急成長を視野に、アップルは慎重ながらもARやVR、それらを融合させたXRヘッドセットの開発を加速させているとみられる、とワン氏は話している。

 アップルが新たな機器市場に参入する場合、同社は革新をもたらすことで当該市場を再定義することをねらってくる。アップルは同分野ではかなりの後発組となるが、「最終的には主導したいと考えているだろう」とカウンターポイント・リサーチのニール・シャー調査担当副社長は話した。

 XRヘッドセット市場の競争が急速に激化することは必至だ。メタ・プラットフォームスは2022年10月に、クエスト・プロ(Quest Pro)という1500ドルのXRヘッドセットを発売し、先日にはサムスン(Samsung)の幹部が同市場に新型機種を投入する計画を明示した。

 かたやマイクロソフト(Microsoft)は、ホロレンズ(HoloLens)と呼ばれる独自のXRヘッドセットを拡充し、中国シャオミ(Xiaomi)は、ARめがねの試作版を公開した。

 同分野に早期参入していたHTCは、2022年第2四半期に10万台以上のXR端末を出荷した。前年同期の4万台から158%増という激増を記録したものの、市場規模はまだ小さい。しかし、アップルやメタ、サムスンらが同市場に進出してくることで、今後の市場急拡大が確実視される。「われわれの方向性は正しいということが証明されたわけだ」「競争はつねに良いことだ」とワン氏は話した。

 かつてはスマートフォンの大手だったHTCは、スマートフォン事業を2018年にグーグルに11億ドルで売却し、仮想世界と物理世界の融合に社運をかけてXR端末に資源を集中させている。1月には、ゲームや運動、生産性の機能に特化した軽量型XRヘッドセット「ヴァイヴXRエリート(Vive XR Elite」を1099ドルで発売した。

 アップルは取材に応じなかった。

https://www.cnbc.com/2023/03/06/htc-ceo-apple-could-launch-mixed-reality-device-this-year.html