Friday, July 01, 2016 10:09 AM
IBM、BPAプラスチックの再生利用法を開発〜安全な樹脂への変換を可能に
IBMの研究班は、有害物質のビスフェノールA(BPA)を含むプラスチックの再生利用方法を開発した。
CDやメガネのレンズ、スマートフォンを製造するのに使われるポリカーボネート樹脂は、世界中で年間270万トン前後が生産されている。ポリカーボネートからは時間の経過とともにBPAが溶け出す。米環境保護庁(EPA)は、乳児用ボトルや子ども向けカップにBPAの使用を禁じている。
エンバイロメンタル・リーダー誌によると、IBMの研究開発部門であるIBMリサーチは、カリフォルニア州サンノゼの研究者が、ポリカーボネートを安全な樹脂に変換できる1工程の新しい処理方法を発見したと発表。処理後の樹脂は、浄水装置や光ファイバー、医療機器に使える可能性がある。
同研究では、古いCDにフッ化物とベーキング・パウダーに似た基剤、および熱を加えて、新しい樹脂を作ることに成功した。処理前のポリカーボネートよりも優れた熱耐性と化学耐性を有し、BPAの流出を招く分解作用を防止する強度があるという。
「ポリカーボネートは、私たちの社会で非常によく使われている。この物質が健康と環境に及ぼす影響を改善する新しい再生利用方法が発見された」と、IBMリサーチの研究者ギャヴィン・ジョーンズ氏は話す。
ただ、開発された処理過程の商用化には数年かかる可能性がある。
「IBMは化学メーカーではないため、産業規模で化学品を製造することはない。規模を拡大するには提携先が必要だ。それには数年という時間がかかるだろう」とIBMリサーチの別の研究者ジャネット・ガルシア氏は説明した。