Friday, May 05, 2017 10:38 AM

送電網と蓄電をブロックチェーンで統合&管理

 蓄電設備を開発および販売するドイツのソネン(Sonnen)と、送電網を運営するオランダのテネット(TenneT)は、ブロックチェーン技術を使ってドイツの送電網に太陽光発電と蓄電システムを統合する。

 ブロックチェーン(blockchain)とは、分散型台帳または分散型台帳通信網と言われる暗号化データ管理技術。通信網上の情報を同期してオンライン経由での取り引き記録を安全に確保および保存できるようにする。仮想通貨ビットコインの土台になっている技術として知られる。

 テネットは、オランダの高圧送電網および近隣国への相互接続を管理するほか、子会社のテネットTSOを通じてドイツの4つの送電網系統の一つを運営している。

 エネルギー・ストレージ・ニュースによると、テネットTSOは、再生可能エネルギーを送電網に統合するにあたって、ソネンが提供する家庭用電池と、IBMが提供するブロックチェーン技術を使用する。

 この種の統合は世界で前例がない、とテネットとソネンは説明している。

 ドイツでは、原子力発電と化石燃料発電からの脱却を加速させている。そのため、風力と太陽光を送電網に統合することが「最重要の課題」になっている。

 「気象によって大きく左右される太陽光と風力からの発電を柔軟に管理しなければならない」「ブロックチェーン技術を使うことで、分散されたシステムを安全かつ賢く接続網化できる」「その結果、風力発電を制限するといった高価な送電網安定化の手法に大きく依存せずに済む」とテネットTSOのウルバン・ケウーセンCEOは説明している。

 ドイツでは2016年に、送電網のシステム設計上の制約問題に対応するために、風力発電の制限や送電先変更の技術に約8億ユーロを投じた。

 テネットとソネンの試験運用事業では、ソネンの電池管理ソフトウェアが送電網の状況に合わせて対応し、システム設計上の制約問題への対応を支援する。ブロックチェーン技術は、それらの電力やりとりを詳細に記録する。

 ソネンは、多数の家庭用蓄電システムを集約することで送電網を支援するという構想を以前から追求してきた。「ソネンコミュニティ(SonnenCommunity)」と呼ばれるその構想では、蓄電システムの所有者やサービスの利用者が余剰の太陽光電力を取り引きできる。

 ブロックチェーンを使うことで、そういった取り引きの管理が容易になる、と同社は説明している。

https://www.energy-storage.news/news/blockchain-and-batteries-will-assist-german-grid-operator-in-integrating-re