Thursday, March 15, 2018 12:02 PM
ブロードコム、クアルコム買収を断念
シンガポール拠点の半導体大手ブロードコム(Broadcom)は、競合社の米クアルコム(Qualcomm)を1210億ドルで買収する案を断念した。
ブロードコムは、登記上の本社をシンガポールに置くが、米企業として世界的に事業展開している。クアルコムを吸収することで、半導体市場においてサムスンとインテルにつぐ世界3位にのし上がり、2強に対抗する戦略だった。
ベンチャービート誌によると、クアルコムの取締役会は、ブロードコムからの買収提示を一度拒否しており、引き上げられた2回目の提示額を受け入れるかどうか注目されていたが、ドナルド・トランプ大統領と米政府機関が同買収案に厳しい姿勢を明示したことで、買収合意成立への障害が大きすぎると判断したもよう。
米安全保障関連政府機関の一つである対米外国投資委員会(CFIUS=Committee on Foreign Investment in the United States)は、ブロードコムが米企業買収に向けて何らかの行動をとる場合には、その5日前までにかならず通知するようブロードコムに先日命じている。
それに加えて、トランプ大統領は12日に、国家安全保障懸念を理由に同買収案を禁じる大統領令を発動した。「ブロードコムが米国の国家安全保障を損なう行動をとる可能性があると信じられる証拠がある」と大統領は述べた。そのため、同買収案が成立する可能性は実質的に絶たれていた。
一方、台湾の半導体業界ではメディアテックやリアルテックといった集積回路設計大手らが、ブロードコムとクアルコムの合体による大手誕生を回避できることで、巨大な競合相手と競争せずに済むことに安堵している。