Friday, March 16, 2018 11:10 AM
違法の野生動物取り引きを人工知能で捜査
違法の野生動物取り引きは、生物多様性保護にとってもっとも深刻な問題の一つであり、ソーシャル・メディアがそれに悪用されている実態が悪化していることから深刻さを増している。そのためソーシャル・メディア上での違法野生動物取り引き監視は重要性を増しており、その強化のために人工知能が活躍しつつある。
サイエンス・デイリー誌によると、ヘルシンキ大学のデジタル・ジオグラフィー・ラブ(Digital Geography Lab)の科学者らで構成される学際研究班では、違法野生動物取り引きに関する供給網を追跡調査するための人工知能技術を開発中だ。その中心となるのが、ソーシャル・メディア上でやり取りされる違法野生動物取り引き関連データを特定する方法だ。
「現時点では、膨大な量のソーシャル・メディア・データを効率的に監視して違法野生動物取り引きと疑われる情報を特定するツールはない」「そのため、違法野生動物取り引きを取り締まる警察機関の捜査力と摘発力には限界がある」とエンリコ・ディー・ミニン博士は話す。
「膨大な量のデータを人手で処理することは非効率的で時間がかかるが、機械学習アルゴリズムを使えば、関連データの特定を自動化でき、人力では処理しきれない量のデータを調べることが可能になる」。
ほとんどのソーシャル・メディアは、API(application programming interface)を提供している。APIは、利用者によって作成されたテキストや静止画像、動画、メタデータに研究者や調査者らがアクセスできるようにする。
研究者のクリストフ・フィンク氏は、「機械学習アルゴリズムを訓練することで、ソーシャル・メディア上に散在する絶滅危惧種関連データを特定すると同時に、メタデータを認識する機能によって利用者関連情報を取得し、さらに、原産や生息、市場に関する情報を自動的に整理できるよう設計できる」と話す。
【https://www.sciencedaily.com/releases/2018/03/180312104027.htm】