Monday, June 04, 2018 10:28 AM
ネットフリックを躍進させたのはデータ解析
米動画配信サービス最大手のネットフリックス(Netflix)は、機械学習技術を応用した独自のサービス向上を早くから実施し、世界市場開拓戦略も奏功したことで、時価総額で世界最大のメディア会社に躍進した。
同社は近年、自社製作コンテントの継続的ヒットや世界加入者数1億2500万人からの安定した収入によって、時価総額が2018年1月からの約半年間に70%も拡大して1640億ドルに達した。その結果、時価総額1520億ドルのディズニー(Disney)を抜いて世界最大のメディア企業に浮上した。
フォーブス誌によると、マドリッドのIEビジネス・スクールのエンリケ・ダン情報システム教授は、「ハリウッドの老舗娯楽大手(ディズニー)」を凌駕するネットフリックスの独自コンテント成功のカギが加入者データの解析にあると分析する。
ネットフリックスは、加入者たちの視聴動向(どういった映画やテレビ番組をどのような頻度で逐次再生しているか)や趣味、関心事といったデータを集めて、視聴行動様式を解析し、コンテント推奨アルゴリズムを開発したほか、コンテントの需要予測にも役立てている。
ネットフリックスが著名な脚本家や映画製作者らとあいついで締結した数百万ドル規模の作品製作契約も、単なる直感ではなくデータ解析の結果にもとづくものだ。同社は、それらの人材を起用した作品の成功率を予想するだけでなく、どの加入者がどの作品を視聴するかについても、かなりの確率で把握している。
対照的に、従来の映像娯楽業界では、異なるプラットフォームから収集するデータや、それよりもさらに基本的な社会人口学的情報に頼る企業がいまだに多い。
ネットフリックスの最新オリジナル・シリーズ作品は、製作者の思いつきではなく、データ・モデルによって成功の確証が得られたことを受けて製作が決定したものだ。その意味でネットフリックスは21世紀のデータ解析モデル会社であり、ハリウッドはいまもなお20世紀に留まったままといえる。