Friday, September 07, 2018 10:08 AM
FDA、医療への人工知能応用に基準策定へ
米食品医薬品局(FDA=Food and Drug Administration)は、臨床試験や医薬品開発、医療向け人工知能の技術革新を加速させるために、コスト効果の高い戦略やビッグ・データに着目している。
ヘルスITアナリティクス誌によると、FDAのスコット・ガットリーブ局長は、医療向け人工知能のように現時点で規制がほとんどない分野での技術革新の支援策を模索している、と述べた。
たとえば、放射免疫学分野での人工知能の効果に関する基準策定を検討している、と同氏は説明した。放射免疫学は、磁気共鳴画像(MRI)や陽電子放射断層撮影(PET)のデータ、腫瘍と遺伝子情報の相関関係を解明して治療に役立てる分野だ。
機械学習によって大量のデータを学習することでその解明が可能になるが、現在、そのための基準がない。FDAは現在、大量の診断画像データを集めており、人工知能による相関関係の判断や診断に関する基準策定に反映させる計画だ。
FDAはまた、医療サービスでの人工知能活用に向けて、患者から報告される治療結果や治療経過、身体装着端末から集められるデータの活用にも着目している。
FDAはそれらのデータを解析することで、人工知能システムと医師による診断や治療法判断を病院や保険会社、患者が比較できるようにする透明化された基準化システムを構築する考えだ。
FDAはさらに、新薬候補の臨床試験と認可過程を合理化するために、マスター臨床試験プロトコールズ(Master Clinical Trial Protocols=MAPs)を策定した。同プロトコール群は、新薬治験のコスト削減を図るもの。
FDAはそのほか、新薬の安全性に関する検証や認可過程にデータ解析を活用することで一連の手続きの迅速化を図る。