Wednesday, December 19, 2018 9:41 AM
識別してつかみ取る作業を実現するロボット
マサチューセッツ州サマーヴィル拠点の新興企業ライトハンド・ロボティクス(RightHand Robotics)は、ベンチャー・キャピタル(VC)会社らから総額2300万ドルを調達した。同社の技術は、これまで困難とされてきたつかみ取る作業を可能にし、配送センターや物流倉庫での荷分け作業過程を劇的に自動化することから、投資業界や技術業界、そして物流業界から注目されている。
倉庫向けロボットは一般に、荷物が積み上げられた棚の下にもぐりこんで棚ごと持ち上げて自律移動して運搬するといった機能に特化する。荷物を識別してつかみ取るという動作は、機械腕(ロボティック・アーム)にとって至難の業で、現在、研究&開発や性能検証の域をまだ出ていない。
膨大な量の製品のなかから特定のものを識別して、それらを収納棚から取り出して所定の場所に置くという作業は、形状や色を識別できないロボットには実行できない。また、壊さないように適度の圧力でつかむこともロボットにはできない。
そのため、個々の製品を選んで取る部分は、現在でも人間の作業員によって実行されている。配送センターや倉庫にとって人件費がもっともかかるのもその部分だ。また、歳末商戦期まっただなかの現在、大量の季節作業員を確保することも難しいという状況にある。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ライトハンド・ロボティクスの技術は、機械視認用のカメラと、ポリマー製のグリップ、そして吸盤を装備した機械腕によって、製品を特定してつかみ取る動作を可能にする。カメラは、人工知能技術によって特定の製品を識別し、機械腕の手の部分のグリップと吸盤で製品をつかみ上げる。
同社の創設者リーフ・ジェントフト氏によると、その精度は人間の作業員と同等か場合によっては上回るという。機械腕の価格は、1台あたり7万5000〜10万ドル。それに加えてソフトウェアのライセンス料と、定期的な保守&整備費用が発生する。
同社は、今回の資金調達の結果、事業立ち上げからの4年間で総額3420万ドルを集めたことになる。同社の機械腕は、現場ですでに試験運用されている。その顧客には小売大手や製薬会社、物流大手が含まれる。