Thursday, December 20, 2018 9:20 AM

テニスでも活用が進む技術とデータ解析

 男子の世界プロ・テニス・ツアーを運営するプロ・テニス協会(ATP)は、データ解析を目的にインフォシス(Infosys)と2015年に提携し、ファン体験や判定の精度向上に役立てている。

 スポーツ関連技術専門のスティーブ・マカスキル記者がフォーブス誌に寄稿した記事によると、テニス業界でのデータ解析や各種技術の応用は複数分野で進められている。

 その一例として、ATPツアーの戦略専門家で、ノバク・ジョコビッチを含む著名トップ選手らのコーチを務めたことのあるクレイグ・オシャネシー氏は、試合の勝敗を左右すると考えられるプレイの特定に取り組んでいる。

 データ解析の結果、勝利にもっとも貢献するのは「サーブとリターン(の質)」ということがわかった。また、「ラリー(ボールの打ち合い)の長さ」は勝敗にあまり関係しないが、長く続いたラリーは試合観戦者の印象に残りやすいことがわかった。

 そういったデータは、コーチによる選手指導に有益だ、とオシャネシー氏は話す。

 試合中の判定の精度向上にも、さまざまの技術が利用されている。試合中のボールの軌道を分析し、映像化してコート上に示す「ホークアイ(Hawk-Eye)」はその一例だ。

 ATPは、最近に開催したネクスト・ジェン(Next Gen、次世代のテニス界を背負う有望の若手選手らだけが出場する大会)で2017年に続いて自動ライン判定技術を採用した。その結果は成功と評価される。しかし、ATPの試合で主審を務めるアリ・ニリ氏は、自動ライン判定技術の広範での利用が若手審判員の育成を妨げる可能性がある、と懸念する。

 試合や選手に関するデータは昔から存在するが、それらのデータをいかに解釈して活用するかがコーチの技量の分かれ目になる、とオシャネシー氏は指摘。技術は、データの収集や解析を助けるだけでなく、その迅速化を支援する、と同氏は述べ、技術の幅広い応用に期待した。

https://www.forbes.com/sites/stevemccaskill/2018/11/20/data-analytics-makes-tennis-players-and-umpires-better-but-will-it-destroy-human-element/#74b01bb62a79