Monday, September 12, 2016 10:13 AM
フードクラウド、食品廃棄物を削減〜ビッグ・データを活用し慈善団体に寄付
アイルランド企業のフードクラウド(FoodCloud)は、ビッグ・データ(big data)とクラウド・ソーシング(crowd sourcing=群衆の力を資源とする)を活用し、小売業者による食品廃棄物削減に取り組んでいる。
同社は、英国最大の食料品店テスコ(Tesco)と提携し、食品の余剰在庫を抱える店舗と、食品を貧困地域に届ける慈善団体を結びつける試みを展開中で、両社はテスコの参加店舗を2016年中に1000に拡大する計画だ。
フォーブス誌によると、フードクラウドのシステムは、テスコが慈善団体に寄付する食品と、それを受け取る慈善団体のあらゆる情報を収集し、テスコの社員が携行型スキャナーを使って、寄付する食品に印をつけると、その情報がフードクラウドのシステムにリアルタイムで送信され、慈善団体に連絡が届く仕組みになっている。
フードクラウドは、独自の解析技術と、アパッチ・スパーク(SApache Spark)のようなオープン・ソース・アプリケーションを使い、食料をもっとも必要とする慈善団体に、寄付されたそれらの食品を振り分ける。
寄付する食品の流れをリアルタイムで監視し、たとえば配達の遅れや異常を見つけて警告することも可能。
フードクラウドによると、余剰食品の再分配では食品の安全性確保が重要課題の一つだ。同社ではそれに関し、テスコのスキャナーによって食品データを幅広く収集することで、寄付の全工程において食品の遡及的追跡可能性(トレーサビリティー)を確立した。
同社はまた、食品の流れの監視と追跡を強化するためモノのインターネット(IoT=Internet of Things)技術の導入を検討しており、保管中および移動中の食品の温度監視や、輸送効率化のために検知器を使う考えだ。
フードクラウドによると、同社は余剰食品再分配によってこれまでに380万の食事を寄付して再生利用したことで、食品廃棄処理にともなう二酸化炭素排出量を5.57トン削減した。
同社サービスを利用する食料品店にとっては、食品廃棄処理にかかる膨大な費用を削減できるという利点もある。