Wednesday, April 15, 2020 9:50 AM

衛星情報を活用して食糧供給の状況を把握

 人工衛星情報を活用して食料品の供給網の状況を把握しようとする企業や組織が増えている。

 ブルームバーグによると、人工衛星やドローンで撮影した画像と携帯電話の位置情報を組み合わせて分析するオービタル・インサイト(Orbital Insight)は、食糧供給を監視および追跡したいという問い合わせが過去2ヵ月で倍増したと報告している。

 「食料品供給網の管理者だけでなく、金融機関や行政機関といったいままで考えもしなかった分野の関係者からも問い合わせが来ている」と、オービタル・インサイトの設立者兼CEOのジェイムズ・クロフォード氏は語っている。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受けて、各地の政府が国境を閉ざしたり、輸出入を制限したりしたことで、多くの産業界で供給網が影響を受けている。なかでも食品は、物流の滞りが顕著に表面化した分野だ。

 欧州では、国境でトラックが長時間にわたる待機を余儀なくされている。フィリピンの輸出港では、米を積載したコンテナが数千と滞留している。中南米でも外出禁止が導入された結果、コーヒーに代表されるおもな一次産品の出荷が遅れつつある。

 オービタル・インサイトの顧客会社らはこれまで、貨物船が港湾をいつ出発したか、工場がどこで操業停止しているか、何人の乗客が空港を通過したかといった情報を求めてきた。最近になって増えた顧客は、輸送や卸売り、配送センターといった業界の会社だ。食料品と医薬品の動きを追跡したいという依頼が増えているという。

 消費財大手のユニリーバは、オービタル・インサイトのサービスを前から利用して、原材料の遡及追跡(上流に向かっての追跡)向上に役立ててきた。最近では、需要に対応できなくなりつつある供給業者や財務困難に直面しつつある供給業者を把握するために配送パターンを分析している。

 「原材料を入手できるのか。工場を稼動し続けるために十分な人員がいるのか。トラックが越境できるのか。異変や危機が起こるまで待っていては遅すぎる」と、ユニリーバのマーク・エンゲル最高供給網責任者は述べた。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-04-12/satellites-are-helping-to-track-food-supplies-in-era-of-virus?srnd=technology-vp