Tuesday, June 09, 2020 9:55 AM
AT&T、4G周波帯域の一部を5Gに活用
米通信サービス大手AT&Tは先日、4G通信の周波帯域を5G通信に活用する「ダイナミック周波帯域共有(dynamic spectrum sharing=DSS)」を開始した。
米国では、5G通信に必要な無線周波帯域が限られており、その不足を補う方法としてDSSが注目されている。4Gの周波帯域を4Gと5Gに分けて活用するというのがDSSの基本的概念だ。
ベンチャービート誌によると、AT&Tは、米国の携帯通信サービス業界2大大手の一社だが、5G導入においては困難に直面してきた。同社は、5Gサービス対象市場として法人顧客に当面の重点を置き、個人市場では出遅れている。しかも、AT&Tの5G通信を採用しようとした法人顧客は、高速の5Gホットスポットと、はるかに低速の5G電話のあいだの選択を余儀なくされており、そのどちらも利用地域が限られている。
AT&Tはそのため、DSSを活用することで、スプリントおよびTモバイルに近い5Gの性能を提供できるようにしようと考えている。ただ、実際の通信速度は、DSS対応の通信塔にその時点で接続している4Gと5Gの利用者数によって変動する。
米国の3大キャリヤー(ベライゾンとAT&T、そしてTモバイルおよびスプリントの合併会社)はいずれも、5G通信網にDSSを使う方針を打ち出してきた。しかし、具体的な時期や地理的な場所は明らかにされていなかった。
AT&Tは、最初にテキサス州北部でDSSを導入すると説明している。データ転送需要が高い市場を優先する計画だ。AT&Tは、DSS用機器をどこから調達しているかを明らかにしておらず、「複数のベンダー」と取り引きしているとのみ説明している。
スウェーデンの通信機器大手エリクソンが通信サービス大手らに対してDSS通信塔を出荷していることは知られている。
現時点でAT&Tが対応している5Gのスマートフォンは、韓国サムスンの「ギャラクシーS20」と「ギャラクシー・ノート10+」といった少数機種に限られているが、今後増える見通しだ。
【https://venturebeat.com/2020/06/05/att-begins-dss-rollout-enabling-some-5g-phones-to-share-4g-spectrum/】