Friday, October 09, 2020 10:20 AM

IBM、年商190億ドルのIT基幹設備サービスを分社化へ

 IBMは10月8日、二つの上場会社に分社化する方針を打ち出した。創業109年の歴史を持つ同社は、事業の多様化から離れ、クラウド電算サービスの会社とIT基幹設備(インフラストラクチャー)サービスの会社に分かれる。

 ロイター通信によると、IBMのIT基幹設備サービス事業は、世界115ヵ国に4600社の顧客会社を擁し、現在、総額600億ドルという巨額の受注を持つ。年商約190億ドルの同部門は、分社化にともなって新しい社名を名乗る。分社化の手続きは2021年末までに完了する見通し。IT基幹設備サービスの世界市場は約5000億ドルと見積もられる。

 同社の本体は、IBMとしてクラウド事業と人工知能技術に専念する。クラウド・サービスは利益率の高い事業としてIBMを支えている。クラウド市場では、アマゾン・ウェブ・サービシズ(Amazon Web Services=AWS)が圧倒的最大手で、マイクロソフト・アジュールがそれを追い上げている。

 グーグル・クラウドとIBM、セールスフォース、オラクルは、アジュールからだいぶ引き離されているものの、IBMクラウドの利用増は加速している、とIBMは説明した。

 IBMは現在、世界に計35万2000人の従業員をかかえる。分社化と事業運営再編にともなう費用は50億ドル近くに達する見通しだ。

 IBMは、成長分野で企業買収しては伝統的事業を切り離すという経営手法を踏襲してきた。近年では、クラウド技術大手レッド・ハットを2019年に340億ドルという巨額で買収し、クラウド事業部門を大幅に拡充した。

 同社はその一方で、成長戦略から外れた事業を売却してきた。1990年代には接続網事業を売却し、2000年代にはパソコン事業を売却した。約5年前には半導体事業も売却している。

https://www.reuters.com/article/us-ibm-divestiture/ibm-to-break-up-109-year-old-company-to-focus-on-cloud-growth-idUSKBN26T1TZ