Monday, January 11, 2021 9:51 AM
保険業界、パンデミックを機に人工知能活用を加速
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが保険業界の人工知能活用をあと押ししている。
インシュアランス・ビジネス誌によると、2020年春にパンデミックが始まった時点で、世界中の保険会社は、自社への影響を評価するという膨大な作業に追われることになった。保有する保険契約のうちいったいどれだけが、今回のパンデミックに関係した保険金支払い対象になるかを把握する必要があったためだ。保険大手らにとってそれは、大量の保険契約の内容を短期に確認する膨大な作業を意味した。
一部の保険会社では、特別に作業部会を設置して、すべての保険証券を確認する作業を進めた。パンデミックや感染症、ウイルスといった文言が免責条項に含まれているかどうかを調べる必要があった。人海戦術でもかなりの時間がかかり、見落としといった人的エラーも起こる可能性が高い作業だ。しかし、人工知能が真価を発揮する種類の作業でもある。保険業界は、人工知能や自然言語処理の活用、さらにはそれらの技術を使った文書構造化の価値を、いよいよ認識するようになった。
保険業界向けの人工知能ソリューションを提供するエキスパート・ドット・エイアイ(expert.ai)によると、業界全体の業務の80%以上では、保険証券や契約書、請求フォームといった構造化されていない文書が使われている。
「人工知能と自然言語処理の典型的な用途の一つは、保険業界の文書を構造化して、ポートフォリオ内の露出(影響要因に関係する潜在的な打撃)を理解することだ。文書をいったん構造化すれば、パンデミックのような新しい出来事が起こった際に、エクスポージャーをすぐに把握できるようになる」とエキスパート・ドット・エイアイのパメラ・ネゴサンティ保険事業担当副社長は説明している。
人工知能技術は、請求処理業務においても広く導入されるようになっている。大量の請求が入ってくる状況において迅速に審査して支払いの可否を判断する必要があるためだ。
「人工知能は、業務を最適化し過程を標準化して、顧客体験を高めるのに効果を発揮する」とネゴサンティ氏は述べた。
https://www.insurancebusinessmag.com/us/news/technology/insurers-using-ai-to-standardize-contracts-and-boost-efficiency-242629.aspx