Monday, January 25, 2021 8:57 AM
次なる危機に備えるためのデジタル・ツイン
供給体制の不測の事態への対応力を高めるうえで、デジタル・ツインの有効性が注目されつつある。
デジタル・ツイン(digital twin)とは、物理的事象をデジタル環境で模擬的に再現することを意味する概念。
ヴァーディクト誌によると、新型コロナウイルス・パンデミックは、複雑な供給網を持つ企業の弱みを露呈し、その結果、多くの会社では、複雑につながった供給体制のどこかで生じた問題が連鎖反応を引き起こし、在庫や生産性の変動といった問題への対応に追われた。
そういった不測の事態への対応力を改善するという点でデジタル・ツインは役立つ可能性がある。DHLとユニリーバは、供給網の順応性を高めるためにデジタル・ツイン技術の活用を本格化させた。
デジタル・ツインは、大量のデータを人工知能で処理してリアルタイムに分析することで、複雑なしくみや環境をコンピュータ・システムで模擬化し、さまざまの筋書き(想定される状況)にもとづいて、各種の問題発生を回避するのに貢献する。
たとえば、テスラの場合、販売した車をすべて組み込んでデジタル・ツインを構築し、販売後市場のデータを供給網管理に役立てることができる。すべての車から走行状況や保守(整備)のデータを取得して、どのような部品が今後必要になり得るかを予想できる。パンデミックによって人々の車利用方法が変化すれば、それに応じた対応を想定して準備できるようになる。
今後、デジタル・ツインが成熟し普及していくにつれ、企業経営の戦略的な意思決定にとって欠かせない技術となる可能性がある。
ただ、デジタル・ツイン技術の導入はかならずしも容易ではない。多くの会社にとって最大の課題は、すぐに使えるきれいなデータ(洗浄化データ)が十分にないことだ。また、セキュリティーの懸念もある。デジタル・ツインは実際の業務環境を詳細に再現することから、きわめて重要な企業秘密だ。
https://www.verdict.co.uk/digital-twins-covid-disruption/