Tuesday, February 09, 2021 10:01 AM

クアルコム、人工知能の視覚処理を加速する研究に注力

 チップ製造大手のクアルコム(Qualcomm)は先日、カメラからの画像や映像を効率的に処理する人工知能の研究&開発事業に取り組んでいることを明らかにした。

 ベンチャービート誌によると、同社は、視覚素材を人工知能で処理する際に必要となる演算量を減らし、ひいては小型かつ低電力のチップを開発できるようにする。

 その種の人工知能技術は、自動運転や防犯カメラ、医療、スマート都市を含む多岐にわたる用途がある。機能が高度化するにつれ演算量が増しているため、効率の良い演算装置を開発することが重要になりつつある。

 それを実現するための手法や技法には、映像や画像の各フレームをそれぞれ解析するのではなく、重複する情報の処理を省いて差異がある部分だけを解析する方法が含まれる。通常の動画では、連続するフレームに含まれる差異はごくわずかなため、演算量を節約できる。

 クアルコムはまた、あまり変化がないフレームを飛ばして解析する機能も開発しつつある。付加的な情報があまりない場合に、フレームの解析を自動的に中断して、次のフレームへと進むことができる。

 最終的にチップが使う電力量を削減して、物理的にも小さなチップを開発できれば、チップのコスト低下につながり、その種の処理ができるチップの普及を加速できる。

 同研究は、末端だけでなくクラウド上での処理にも恩恵をもたらす。クラウド上では演算力への制約は比較的少ないが、データ送信量が減れば、それにともなうコストを抑え、また機器の反応速度も高められる。さらに、送信するデータが少ないほうがプライバシーやセキュリティーの観点からも好ましい。

 画像処理関連の人工知能技術の研究&開発に取り組んでいる技術会社には、インテル傘下のモヴィディアス(Movidius)やエヌビディア(Nvidia)がある。また、グーグルやマイクロソフト、サムスン、NXP、ARMも独自のアルゴリズム加速方法を追求している。

https://venturebeat.com/2021/02/06/qualcomm-research-could-lower-the-barriers-to-visual-ai-everywhere/