Tuesday, February 01, 2022 11:37 AM
エヌビディア、オムニヴァースを個人創造者に無償提供
エヌビディア(Nvidia)は、オムニヴァース(Omniverse)ソフトウェアを使ってメタヴァースのための仮想世界を創造しようとする創造者(コンテント制作者)たちを対象に、同ソフトウェアのライセンスを無償提供する。
オムニヴァースとは、ピクサー(Pixar)のユニヴァーサル・シーン・ディスクリプション(Universal Scene Description)とエヌビディアのRTX技術を基盤にした三次元模擬化および設計の協業用プラットフォームで、拡張可能型でマルチGPUリアルタイム・リファレンス開発を可能にする機能性を特徴とする。
ベンチャービート誌によると、オムニヴァースのライセンス料金は、企業顧客には最低でも年間9000ドルだが、同社は個人の創造者向けにそれを無償化する。
今回の無償提供は、創造者の団体を対象外とし、個人のみが有資格者となる。慈善活動として無償提供するわけではなく、メタヴァース事業の成長を図るための草の根的な投資と位置づけられている。
エヌビディアはそれによって、コンテント制作者に力をもたらす取り組みをメタヴァース事業の戦略として掲げたことになる。メタ(旧フェイスブック)がデータを集めて管理してメタヴァースにおける支配権をねらうことを重視しているのとは対照的な姿勢だ。
エヌビディアは、自由の精神を発揮して、創造的エネルギーを刺激しようとしているとみられる。閉ざされた仮想世界ではなく、おおやけに接続されたメタヴァースの構想といえるだろう。
エヌビディアの中核事業であるGPU(graphics processing unit)は、三次元模擬化やゲーミングの用途の演算装置として市場で圧倒的な地位をすでに築いている。今回の無償提供の決定は、メタヴァース内で使われる三次元設計素材を開発するためのプラットフォームとしてオムニヴァースの地位を固めを図る動きだ。
個人のコンテント制作者らは、メタヴァースがこれから発展していく過程で重要なカギをにぎる可能性がある。創造者や工学者らは、仮想世界を自由に闊歩し、つくりたいと思ったものをみずからつくれる環境を好むと予想される。その草の根での地位を確立しようとするのは賢明な戦略といえそうだ。
https://venturebeat.com/2022/01/30/why-nvidias-bottom-up-approach-to-the-metaverse-will-win/