Tuesday, March 08, 2022 10:40 AM

ウクライナ危機を受けてパラジウム相場が記録的高騰

 技術製品に欠かせない貴金属のパラジウムの価格は、ロシアのウクライナ侵攻による供給網混乱不安を受けて、史上最高値に急騰している。

 貴金属流通および貴金属市場ニュース大手キットコウ(Kitco、モントリオール拠点)によると、パラジウムの先物相場(6月)は3月7日、1年前とくらべて70%以上高い1オンスあたり3400ドル超に一時高騰した。同相場は、そののち400ドル以上も急落し、約2928ドルに下がった。

 「パラジウム相場は、ロシア産原料の禁輸措置への懸念が強まったことで新記録をつくった」「世界のパラジウム生産におけるロシアの優位性を考慮すると、ロシアからのパラジウム供給が途絶えることは、パラジウム市場にとって壊滅的な打撃となるだろう」とTD証券の取り引き商品戦略家らは話している。

 パラジウムは、水素吸蔵性があり比較的低い融点を持つ貴金属の一つで、工業用に加工しやすいという特徴がある。おもな用途としては、プラチナの割り金(特殊金属に混合する金属)や化学反応触媒、有機合成、電子工業用部品、歯科治療用合金がある。ガソリン車の触媒コンヴァーターに使われる金属として知られる。

 ロシアはパラジウムの世界採掘量の40%を占る。ロシアによるウクライナ侵攻を受けた西側諸国による対露経済制裁によって、ロシア産パラジウム供給が大幅に制限される懸念が非常に高まっている。自動車業界や電子機器業界、医療機器、歯科の業界では材料や部品の調達費の高騰に直面することが確実とみられる。

 ロシアとの航空便に使われる空域の大部分を欧州各国が閉鎖したことから、パラジウム買い付け業者らはパラジウムをどのように輸送するかに苦心している。SPエンジェルのジョン・マイヤー氏によると、ロシア産パラジウムのほとんどは航空貨物便で輸送されてきた。「ロシアの領空閉鎖は供給網を大きく混乱させる」と同氏は話した。

https://www.kitco.com/news/2022-03-07/What-s-next-for-palladium-price-after-metal-hits-record-highs-on-Ukraine-crisis.html