Thursday, July 21, 2022 11:45 AM
ASML、チップ製造装置の記録的受注増を報告
オランダ拠点の多国籍大企業ASML(Advanced Semiconductor Materials Lithography)ホールディングは7月20日、世界中の多くの会社と同様に記録的インフレーションや供給網の逼迫、不況到来懸念といったいくつかの先行き不透明要因に直面しているものの、直近の四半期に過去最高水準の受注を獲得し、今後数年間において強い需要が続くという見通しを発表した。
ASMLは、コンピューター・チップ生産に欠かせないフォトリソグラフィー・システムの開発と製造の世界的大手だ。半導体向けフォトリソグラフィー・システムと極端紫外線リソグラフィー(extreme ultraviolet lithography=EUV)機械の分野では世界最大手で、米国やベルギー、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、英国、中国、香港、日本、マレーシア、シンガポール、韓国、台湾に事業所や施設を持っている。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ASMLは2022年第2四半期に前年同期比35%増の54億ユーロを売り上げ、36%増の純利益14億ユーロを記録した。
同社のピーター・ウェニンクCEOは、7月3日までの3ヵ月間に合計85億ユーロの受注を獲得したと述べ、世界中のチップ・メーカーらがASMLのチップ製造装置を旺盛に買い求めている実態が浮き彫りになった、と話した。
同氏によると、記録的な需要増にはおもに二つの要因がある。まず、ASMLの最新鋭機械は、1億6000万ドルという高額で、重さは180トン、出荷にはボーイング747型機3機を必要とし、その製造には長いリード・タイム(発注から納品までにかかる時間)が必要ということが挙げられる。もう一つは、パソコンやスマートフォン向けのチップの需要は鈍化したが、高性能パソコンや自動車向け汎用チップの需要は高水準を維持していることだ。
先進諸国や半導体大国らがチップ不足の解消やチップ業界競争力の増強を図っているため、政府と民間による設備投資が今後しばらく続くとみられる。そのため、発注から納品まで時間がかかるチップ製造機械をいまのうちに確保しておくという需要が刺激されている格好だ。
ASMLは、2022年に55台、2023年に60台以上の最新鋭機械を製造する計画だ。同社は、その数を2025年までに年間90台まで増やせるかどうか状況を評価中だ。
https://www.wsj.com/articles/chip-making-machines-draw-record-orders-for-dutch-tech-firm-11658316196?mod=tech_lead_pos4