Wednesday, December 14, 2016 10:03 AM
カナダの新興企業マロポスト、米大手らを猛追
オンライン販促(マーケティング)ツールの新興企業マロポスト(Maropost、カナダのトロント拠点)は、設立からわずか3年で黒字転換を果たし、業界大手のセールスフォース(Salesforce)やオラクル(Oracle)を猛追しており、同業界で注目される存在となっている。
ブルームバーグによると、オンライン販促を簡便化するツールを開発するマロポストは、使いやすさと利用者サービスで顧客企業300社以上を獲得し、2016年に約3000万カナダ・ドル(2300万米ドル)を売り上げた。
同社のロス・アンドリュー・パケット最高経営責任者(CEO)は、2018年末までに年商が1億カナダ・ドルに達すると自信を見せる。
マロポストは、新興企業としては非常に珍しく外部資金を調達せずに設立から2016年夏まで急成長した。同社は今夏に初めてベンチャー・キャピタルから投資を調達した。その調達額は非公表だが、関係筋の話によると3700万ドルとみられる。
オンライン販促には、電子メールを使った広告キャンペーンや購買意欲の追跡、顧客関係管理といった各種機能が含まれる。セールスフォースやオラクル、IBM、アドビ・システムズといった米大手が牛耳る市場で、特にセールスフォースとオラクルは、台頭する新興企業群を買収しながら強大化した。
そうしたなか、マロポストは創業3年ながら大健闘し、いくつもの大企業を顧客として獲得している。顧客にはニューズ・コープやローリング・ストーン・マガジン、メルセデス・ベンツ、アメリカン・エキスプレスが含まれる。
パケットCEOは自社製品の武器として、業界大手らがさまざまの企業を買収して構築した複雑なシステムと異なり、最新のプログラミング言語によって構築した純正かつ明快な設計になっている点だと説明する。それに加えて、手厚い顧客サービスを利用企業に提供する点も売りになっている。
カナダは近年、販促ツール分野で活躍するいくつかの新興企業を輩出している。たとえば、オラクルが2012年に8億7100万ドルで買収したエロクア(Eloqua)はトロント拠点だ。また、セールスフォースが2011年に3億4000ドルで買収したラディアン6(Radian6)はノヴァ・スコシアのフレデリックトン拠点だ。
そのほかにも、ソーシャル・メディア向け販促ツールを開発するフートスイート(Hootsuite)はブリティッシュ・コロンビア州ヴァンクーバー拠点。フートスイートは台頭新興企業として存在感を増しており、企業評価額は10億ドル以上に達した。