Thursday, January 07, 2021 9:01 AM

アルファベット傘下企業群の従業員集団、労組を結成へ

 アルファベット(Alphabet)とその傘下のグーグル(Google)、そのほかの傘下企業群の計200人以上の労働者集団は1月4日、アルファベット労働組合(Alphabet Workers Union=AWU)を組織することを表明した。

 テッククランチ誌によると、同集団は、デジタル技術業界での労組結成を支援する団体CODE-CWA(Communication Workers of America Union’s Campaign to Organize Digital Employees)の支援を得て、アルファベットとその傘下企業群すべての社員および契約労働者を対象に労組を組織する計画だ。

 同運動に署名したアルファベットおよび傘下企業群の従業員は約227人で、その全員が年俸の1%を組合員費として収めることに合意済みだ。

 アルファベットとその傘下企業群の従業員数は計13万2121人。

 AWUは、弱い立場の労働者が強い立場の経営陣に対して団結して給与交渉力を強めるという昔ながらの労組ではなく、公益の観点から労働者と経営陣の共通の目標に向かって集合的に協業することを推進する。労働条件闘争ではなく社会正義や公益、倫理のために経営陣に進言することがAWUの目的だ。換言すれば、利益や株価を優先する意思決定を下す経営陣に対し、会社としての社会責任を果たすよう経営陣をいさめるという新種の労組ということになる。

 米技術業界ではこれまで労組が組織されなかった。技術者および専門家らの割り合いが非常に高い業界であるため、企業文化が旧来型労組にそぐわないという要因もある。また、労組結成を歓迎しない方針を経営陣が明示することで、労働運動を禁じる会社も技術業界には多い。

 したがって、AWUの結成は、米技術業界にとってきわめて異例かつ歴史的だ。

 その背景には、社員や社会の価値観と経営陣の価値観に溝ができることで、会社の社会責任や社会的立場に危機感を覚える社員の意識が強まってきたという近年の傾向がある。

 たとえば、アルファベット傘下企業群で働く労働者の約半数は契約者であるため、会社側はそれらの労働者の福利厚生を負担しておらず、一部の社員らはその点について、会社が社会責任を果たしていない、と考えている。また、不適切行為によって辞任した幹部のティムニット・ゲブル博士が巨額の早期退職金を受け取ったことに関して、社会責任に反する行為だと異議を唱えたグーグル労働者らがストライキを実施したこともある。

 そういった動きには、労働力全体に対する若い世代の割り合いが大きくなるにつれて顕在化している。ものごころがついたときにはスマートフォンやオンライン・ゲーム、タブレットに囲まれ、各種のアプリケーションを使いこなしながら育ってきた若い労働力がシリコン・バレー文化とも呼応するという作用もある。

 40代以上の管理職らとは異なる正義や価値観、ものさしによって、経営陣の判断や方針を受け入れられない場合に、旧態依然とした経営陣に軌道修正の必要性を認識させるというのがAWU発足の動機と意義だ。

https://techcrunch.com/2021/01/04/google-alphabet-employees-union/